2017上期


        
        四歳も正座で並び雑煮箸
        
        水鳥や造成谷地に迫りつつ
        
        甲斐一望春雪眩し八ツ連嶺  
        
            大村美術館
        梅一枝博士の郷里美術館  
        
            韮崎・平和観音
        北吹くや観音富士に向かひ立つ 
        
            誕生日
        黒靴で八十路へ一歩雪の朝  
        
            アイガー
        北壁や筆跡凍る画紙小さし
        
        寒月やアイガー東稜翳深し
        
        さんざめきフォンデュ煮詰まる冬館
        
        自転車を将棋倒しに春一番
        
        海一望下山の途次は梅日和
        
        日溜まりの窪で昼餉や山笑ふ
        
        梅の園活断層を秘めてをり
        
        八歳の再生並木花三分
        
        若きらに諮る攀ず嶺や木の芽時
        
        絵姿の祖母嫁ぎゆく青時雨
        
        ひとまずは仕舞ふ思ひ出更衣

        はたた神今宵も響く歯の疼き
        
        紫衣の尼は岳友なりき走馬灯
        
        ミステリー二転三転明け易し
        
        雛納め今後のことを妻とまた
        
        旅果てて盛りを知らぬ花を掃く
        
        雲丹で飲む耳に薬味の津軽弁
        
        子らにまた忠説く兆し武者人形
        
        認知症の友の達筆ところてん
        
        まだ判るうちに会えぬか祭り前
        
        果てもなく玻璃に突進蜂一途
        
        石楠花の朝の真紅や今日は吉
        
        大リュック五歳キャンプへ発つ朝
        
        白小花群れの輝き舞鶴草
        
        支へ合ふ人といふ字や二輪草
        
          
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