半壽の旅
この間の新聞に
美智子皇后陛下半壽記念として
大粒真珠を小粒ダイヤが囲む
高価な首飾りの広告が出ていた
半壽ってなに?
半の字を分解すると
八十一になる
皇后さまは八十一歳なんだ
すると、正雄は
皇后さまと同い歳か
この二人の生まれた1937年頃
遠い山奥で大変な工事が進行していた
黒三発電所ダム工事の拠点、黒部峡谷・欅平
宇奈月からここまで伸びてきた
資材運搬トロッコのレールは
急勾配に突き当り延伸出来なくなった
そこで、高低200mの竪坑を掘り
エレベーターでトロッコを運びあげて
上部レールに載せることにした
その工事が始まっていたのだ
日中戦争が始まったのもこの年
戦争遂行に必要な電力増強
国家・軍部の圧力は重く
工事は強力に推し進められた
そしてついに1939年
竪坑エレベーターは完成した
以来、80年間エレベーターは使用され
今なお現役で活躍している
2018年8月3日
菊枝と正雄はこのエレベーターに体験乗車
床にレールが敷かれ、資材搬入トロッコを
200m運び上げて、上部のレールに押し出す仕事
よくもまあ、長い年月重労働を続けてきたものだ
欅平から竪坑エレベーター入口までの580m
我々の客車を牽引したED凸型機関車も
1935年頃から使用とか
トロッコ乗車中に見た水道橋も
1937年完成と説明があった
みんな永持ちしてるなあ、菊枝の希望で実現した
黒部の旅、ほぼ正雄と同年のみんなに出会えてよかった
宇奈月の駅舎二階に展示してあった便乗証の写真、
まだ資材運搬専用時代に乗せてもらう際
安全は保障しません、と記載されたカード
65年前、正雄が貰ったもの
高2の夏、北村先生や
カチャン、ヨンジュンたちと
白馬岳から祖母谷温泉に下りてきて
欅平からトロッコに乗った
その時、菊枝は小学校2年生かな
正雄と菊枝が出会うことは
まだ決まっていなかった
それとも神さまの予定表には記入があったか
白金台都ホテルで
アルペンルートの写真を見て
恵一君は、弥陀ヶ原・天狗平方面へ同行した
スキー行の思い出を語っていた。
恵一君が大学生だったその頃、黒四は出来ても
まだアルペンルートは無かった
立山に入るのは富山からのみ
ルートは室堂が終点だった
黒四ダムから室堂までのルート建設にも、
大変な工事が必要だった
黒四ダム完成から、アルペンルート開業まで丸7年
立山を貫く開発は1971年まで続いた
その成果を、
2018年8月2日、3日
菊枝は楽しんだのだ
北陸新幹線初乗りのおまけまで付けて
黒四ダムの放水毎秒10トン超の凄さ
その飛沫から濃い虹が生じる様子
トロリーバスで行く長いトンネル
残雪に数メートルの厚さを見つけたロープウエイ
盛夏に雪渓を踏めたのも
みくりが池の水の蒼さを見たことも
北アルプスの峰々を間近に望んだことも
室堂平の冷たい湧水に触れたのも良かった
世の中はどんどん変わる
長く生きると、苦労も多いが
楽しいことも味わえる
もう少し、一緒に長生きを楽しみましょう
2018.8.25